「この人、二重人格?」
セールスの仕事をしていた頃、
先輩との同行で、思わずそう心の中で呟きました。
その先輩とは初めての同行。
1軒目が無事終わり、
2軒目でその出来事は起こったのです。
1軒目、穏やかに、ゆっくりした口調で話していた先輩。
しかし、2軒目になると豹変。
全くの別人のように、
勢いのある口調で話し始めたのにはビックリ。
私は、「えっ!どうしたの?」
と、心の中で呟きながらも、
「このお客様には力を入れているのかな」
と自分なりに勝手に解釈していました。
でも、やはり気になるもの。
そこで、私は一念発起して、恐る恐る、
帰りの車の中で先輩にそのことを聞いてみたのです。
「先輩。1軒目のお客様は、
全然見込み客にもならない人だったんですか?」
「なぜ?」
「いやぁ~。さっきの2軒目のお客様の時は、
すごく勢いのある喋り方をされていたので。。。」
「いや。どっちも力を入れていたよ」
「えっ、そうなんですか。。。
全然喋り方や身振り手振りまで違ったので。。。」
「聞かれるとは思っていたけど、
あれはね、お客様に合わせて変えているんだよ」
と、言われたのです。
先輩いわく、話の口調や身振り手振りまで
お客様に合わせることで、同調することができ、
相手に安心感を与えられるということ。
このとき、私は、「なるほど!」
と感心させられました。
セールスに限らず、人間関係でもそうですよね。
自分と波長の合う人と一緒にいる方が
居心地がいいものです。
これを先輩は、セールスで実践していたのです。
勢いのある口調で喋る人に、
ゆっくりのんびりとした口調で話していたら、
相手はストレスを感じるのは当然です。
相手の波長に合わせた方が、
話の内容も相手に伝わりやすいのは確かでしょう。
それにしてもその先輩は、
その落差があまりにも激しかったので、
今でも鮮明に記憶に残っています。
※アマツカゼのセールス経験談はこちら。
→ こっぴどく罵倒される毎日
私は今、言葉ではなく文章で表現する仕事をしていますが、
文章にも当然、波長が合う合わないはあります。
語尾が「です・ます調」「だ・である調」
また、文章全体から感じる、
「優しい雰囲気」「堅い雰囲気」「明るい雰囲気」などなど。
言葉の使い方によってだけではなく、
文章表現にも、その人特有の雰囲気がにじみ出るものです。
「こんな雰囲気の文章表現をしてはダメ!」
という人もいますが、
万人に受け入れられる文章表現などありません。
重要なのは、自分の読者が心地良いかどうかです。
リアルセールスと違うのは、ブログの場合、
自分が書いた文章に興味を持った人が読者になるということ。
つまり、その文章の波長に合う人が集まるのです。
しかし、それらの層は、
かなり広い範囲での合う合わないです。
そこから、更に読者と自分の発信する波長を絞り込んで、
同調させることで、より濃い読者層を生み出せる訳です。
では、具体的にどうすればいいのか?
それを知る方法は、あなたの読者に直接聞くことです。
あなたの文章表現が読者にとって読みやすいのか?
アンケートをとってもいいし、
やり取りのある読者に直接聞いてもいいのです。
自分の読者にとって、心地よい文章表現を突き詰めること。
その意識を持ち続けてください。
少なからずも、自分に興味を持ってくださった読者です。
ハナから合わない人ではないはず。
「自分の表現が嫌なら出て行け」
と言い放つのは簡単だし、自分を貫き通すという意味で、
そう言った方がカッコイイと思ってる人もいるでしょう。
しかし、私が言っているのは、興味もなく、
なんとなく訪問した人に対しての話ではないですからね。
興味を持ち、読者になってくれた人に対してです。
縁あって、
読者になってくれた方の声を聞くのは重要なことです。
あなたの読者に、文章表現について聞いてみてください。
「現在の文章表現が好きだから読者になったけど、
強いて言えば、もう少しだけ、こうした方がいい」
というような意見があるかもしれませんよ。
セールスの、話の口調や身振り手振りと同じように、
文章でも、あなた独自の、あなたの読者層に
心地よい文章表現を追求していきましょう。